Bogd(ボクド)山とTuul(トーラ)川 ウランバートル近郊
Bogd(ボクド)山とTuul(トーラ)川 ウランバートル近郊
モンゴルでは昔から大自然を大切にしてきました。
山や川は聖なる場所としての信仰があります。
山と川を大事にすることで、そこに宿る神様が喜んでくださり、自然をもっと豊かにしてくれるという伝説もあります。
数多くの伝説や語り継がれてきた伝承、民話の中にも、自然への畏敬と感謝を見ることができます。
山の木を切り出す時、持ち出すこと時には、お菓子や乳製品などを山の神様にお供えします。
そして、お伺いをたて、祈願してから、切りだしたり、持ち出したりしていました。
川もまた同様です。川の水に汚れたものを入れるのはタブーです。たとえそれが捧げものであるミルクであっても、川に流すこと(汚すこと)はタブーなのです。
現在は昔ほど厳しくはありませんが、山や川を汚すことはやはりタブー。
“山と川は生きている。
山や川など自然の神様に祈っていれば、神様もその人の生活を豊かにして、夢を叶えてくれる。”
今もなお人々は尊崇の念をもって山や川に接しています。
モンゴルの人々は大自然とともに歩んできているのです。
モンゴルでは信仰されている聖なる山と川がたくさんありますが、その中でもボクド山とトーラ川が最も大事な意味を持っているとされています。ボクド山付近はは歴史的にも、最も古くから保護地になったといわれています。
その昔、ウランバートルの人々は毎朝、ボクド山に向かってミルクを捧げていたそうです。
チンギスハンの軍隊が戦争に行く前にトーラ川の水を口にし、清めてから戦争に出発したと言われています。
今でもモンゴルでは健やかな成長と幸せを祈願して、出生地の山や川の名前を子供につけることも多く、特に川の名前は女の子に多いようです。名前を聞くと出身がわかる場合も。第八活仏のお名前はボクドハン(ボクド皇帝・王様)でした。女性でトーラさんというお名前の方も。 都市部近くを流れるトーラ川はいまも清らかな流れを保ち、ボクド山の山頂には大きなオボーがあり、今も多くの人々が参拝に訪れています。
大自然からのスーパーネナジーを受け取れる場所。
それが父なるボクド山であり、母なるトーラ川なのです。
各地にみられるオボー とは、、
各地にみられるオボー とは、、
オボーは道や丘などの大切な場所にみられる石や家畜の骨などを積み上げた塚のようなものです。
ハタクと呼ばれる蒼い聖布を巻かれたものも多く、日本の道祖神や北欧諸国のケルンに似た地域アミニズム原始宗教のなごりといえそうです。
旅の途中でオボーを時計回りに3回まわって石などを積み、旅の無事を祈ったり、いろいろなお願い事をしたりします。高さ2mを超えるオボーなどもあります。
いまなお篤い信仰に支えられています。
Hamriin hiid(ハマリンヒード)東ゴビ シャインシャンド
Hamriin hiid(ハマリンヒード)東ゴビ シャインシャンド
19世紀の初頭、今のDornogobi(ドルノゴビ)県にDanzanravjaa(ダンザンラブジャー)という、人々から活仏と尊敬、崇拝されていた僧侶がいらっしゃいました。
お酒を水にした、壁を通り抜けることができたという逸話も残されています。天才僧侶ダンザンラブジャーは多才で、教師、医者、また作家、詩人でもあり、様々な文化を広められました。
ハマリンヒード寺院は仏教布教のために建てられた僧院でした。日本からも人が来て、弟子になったという話も残っているそうです。
僧院内には本堂や書庫などがあり、”Saran Hohoo”(サランホホウ)という劇場もつくられ、仏教説話の劇や舞踏、オラなども上演されたそうです。
何千人にもの僧侶が起居し、仏教の教えを広めるとともに諸文化の発信もされ、篤い信仰を集めていたそうです。
仏具や経典の他にも数多くの工芸品や美術品も残されています。
多くの僧院や劇場などがありましたが、社会情勢の変化により、ダンザンラブジャーも亡くなり、満州軍と1930年代の社会主義の影響でほぼ全てが壊滅的な状況となりました。
しかし、ダンザンラブヤーの弟子たちが、ひそかに使っていた物、仏壇、仏具、佛などを山の中に隠し、時を過ごしました。
1990年代の民主主義への変化とともに、復旧作業が始まり、今のハマリンヒード寺院ができ、現在は篤い信仰を集める寺院として復活を果たしています。
また、サインシャンドにはダンザンラブジャーの博物館もできました。
母なる洞穴 エネルギーがあふれる聖地
母なる洞穴 エネルギーがあふれる聖地
ハマリンヒードの付近は土が赤く、周辺の砂漠や景色とは異なっています。
太古の昔には火山帯だったかもしれません。
また溶岩石の岩壁があり、小さな洞穴がたくさんあります。この洞穴は瞑想用に使用されていたそうです。
僧侶たちはここで108日間にも及ぶ修行をし、悟りを開き、エネルギーを得ていたと伝えられています。
この洞穴には地球からのエネルギーに満ち溢れていると言われています。お香をたき、マニ車を回し、捧げものをしながら、たくさんの洞穴を巡り、エネルギーを得て、母なる洞穴を巡り、改めて生れ出ると言われています。
ハマリンヒードに参拝をすることにより、たくさんのエネルギーをチャージできると言われています。
モンゴルの人々はお菓子やミルクを山に捧げ、大地や特別な岩の上に横になったりしてエネルギーチャージしています。夏季の週末には全国から多くの人々が集まります。
女性のお願い事きいてくれます“おっぱい岩” マームハット
女性のお願い事きいてくれます“おっぱい岩” マームハット
ハマリンヒードの周辺に人々が願掛けをしていた黒い山がありましたが、そこは女人禁制。願掛けしたくても女性はそれもできなかった時代。
そんな時代に、女性たちの祈願所をである“おっぱい岩”マームハットをダンザンラブジャーが僧院近くの丘の上に築かれ、女性たちも祈願ができるようになり、多くの女性たちの篤い祈りの場となりました。
現在の“おっぱい岩”マームハットは復興の際に作り上げられた、とてもわかりやすい“おっぱい岩”マームハット。
今も多くの女性が、聖なる布ハタクを捧げ、時計回りに回りながら、ミルクや栗などを捧げ、祈りを込めて願掛けをしています。岩に両手とひたいをつけ、願い事をささやいています。
多くの人々の捧げたミルクが岩にしみ込んでいきます。
“おっぱい岩”マームハット。大自然の大地と大空にある、女性たちのお願い場所です。